地デジがはじまる前に地デジがこわれました

・おひさしぶりです(?)、ふみなしです。
 私のはてダなんて見てくださる方いらっしゃるのかなーとか思いながら、20分間でどれだけの文章量が書けるのか試してみたり。まねっこまねまね

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 暗い廊下を走っていた。 白い柱、西洋調の、パルテノン神殿のそれで見た記憶があるような、そんな柱が林立している。とある山ひとつ分ありそうな、ひろい校舎の一部を走っていた。

「こっち、こっち」
「これ、借りて良いって言われてるから、これ持ってっていいよ」

 手を引かれて行ったのは箒置き場。ある立派な箒を渡される。立派とは言えど、或る程度痩せていて使い込まれたものであることが見て取れた。シルエットでは、彼の長身がやけに目立つ。箒をもらったとき、緑のにおいがした。

「箒の名前は……だよ。あとは、……だね」

 聞き取れなかったけれど、またふたりは走り出した。この箒は彼のものではなく、飛ぶ箒らしい。僕は魔法使いではなかったから、あまり箒で飛ぶことに慣れていない。というか、全くのなじみがない。彼は箒で空を飛ぶことがごく普通のことであるように話す。きっと、彼は魔法使いなんだろう。
 爆発の音がきこえる。びくっと体を震わすと、彼が心配そうに僕を見てくれた。「大丈夫だよ」というその声は、それだけで奮い立たされるような思いを感じる。部屋に残してきた大事な人のことを思い出す。彼女は大丈夫だろうか。気になったけれど、今は時間がないみたいだ。走っても夢心地ではあるけれど、そんな遠くないところで殺戮よりもひどい殺戮が行われていることだけはわかっていた。

「もうそこまできちゃってるね。仕方がない。本堂に行こうか」

 彼がなにがしか呟くと、多少疲れた足が軽くなる。ほら、あともう少しだから。僕は日本人だから英語は全くのアウェイであるけれど、普通にわかる。だれのおかげだろう。今は少し思い出せない。それにしても、導いてくれるこの長身の、若いとはいえないこの男性はいったいだれであるんだろう。顔がみえないから確かな年齢はわからないけれど、きっと自分の父母とあまり変わらない年齢であるようには思えた。それだけ頼もしく見えたにちがいない。
 手を引かれて本堂に入る。教会だった。小さいころ教会に通った覚えがあるので、教会は見慣れている。自分にとって自然ではない環境が取り巻く中で、教会だけは少しやさしかった。ここはカソリックの教会かな。僕は、プロテスタントだったけれど。
 入り口横の小さい部屋に入る。手招きをされて、奥に隠れた。しゃがむと全くの陰になる。僕らは、逃亡者だった。




 20分はみじかい。