2012-01-01から1年間の記事一覧

<つづき> するどく小さい溜め息を吐いた。いいよ。いいの と念押しの言葉を無碍に扱った。いいよ、付き合ってあげる。奥さんになってあげるよ。短く切った語尾がつい震えたけれど見逃した。 彼は一瞬ぎらっと目を光らせて微笑んだ。良かった心配だったんだ…

神様のいない街には子供がいない。 子供は生まれた瞬間から言葉を喋り、身の回りのことを自分でできる。母親に授乳されるのも泣き叫んでその空腹を知らせるのではなく「申し訳ありませんがおっぱいをもらっても宜しいですか」と断る。夜は情事に耽る両親を思…

初音さんの歌うストロボライトを見ていた。取り返しの付かないことをしてしまった自分が、取り返しの付かないことをしてしまう前の自分に出会ったとき、確かに新しい道へ、やり直しの効く(compensative)道へそっと背中を押すだろう。 けれど、その過程で、…

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文化祭が終わった。 青青とした中高校生にとっては老害としてしか存在しえない受験生の身分でありながら文芸部の部誌にささやかに一編載せて貰った。 語り手の女の子がすこし自意識過剰でネクラで魅力を感じにくいキャラクターになってしまった。彼女に意見…