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 文化祭が終わった。
 青青とした中高校生にとっては老害としてしか存在しえない受験生の身分でありながら文芸部の部誌にささやかに一編載せて貰った。
 語り手の女の子がすこし自意識過剰でネクラで魅力を感じにくいキャラクターになってしまった。彼女に意見を述べさせなくとも言わんとするところを理解できるような情景描写ができたらなあ、と本が出来てから思ってしまった。
 私が何かを出版物の一部に加えてほしいという時は必ず誰かが苦しむし、それに懲りたはずだったけれど、でもやっぱり止められそうにない。誰も(私自身すらも)私に求めなくなるまでは。
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 何か文章を書く度、手を触れないけれど大切に閉まってある本棚に本が増える。南木佳士のエッセイのように、時々読みたくなるのだけれど手を伸ばした瞬間こっぱずかしいような震えるようなものを感じ、怖くて読めなくなる。
 それが完全に不快かと言われるとそうではなくて、何らかの変化を齎した時の流れといつかの自分の行動力を思い出し、何もやっていないわけではなくせめてあがいてみせていることを多少は誇らしく思う。それが善かろうが悪かろうが。でもそう思うのは世の中をまだよく知らないのが当然な年頃の時だけで、そうでなくなったらただただ拷問にかけられる想像は難くない。
 しかし今は、凄まじい破壊力を孕む過去に竦み、現在の自分を見て竦む未来の自分を見てほくそ笑むことができる。
 黒歴史を作るのは楽しくてたまらない。