「愛していれば何ということはない」
「……」
「ところで長門
「なに」
「愛している」
「あなたの愛しているという定義はなに」
「ひとことでは言えない。けど、ふとした時に考えていること、何かにつけて思い出す人間は、すべて長門、お前でありお前に関するものだった。俺はそれがすごく嬉しかったし快かった。愛しているという言葉では納得いかないか」
「わからない。私はその愛というものが判断できないから」
「そうか、なら俺の女になってくれないか、長門
「了承した」
「えっ……いいのか長門!? その言葉の意味するところがわかってるのかお前は!?」
「わかっている。まず、イニシエーションとしては」
長門は椅子から立ち上がり、俺の頬を両手で包みこんだ。身動きできない俺の視界をすべて長門で埋め尽くしながら彼女は――
「キスからはじまるべき」

俺は、もう長門の虜だった。